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これまでの表彰式・記念講演会 / 第25回 (2021年度)

第25回(2021年度)受賞作品

第25回(2021年度) 「国際開発研究 大来賞」(おおきた賞)は下記2作品の受賞に決定しました。
多くの皆さまより ご推薦・応募 参加をいただき、ありがとうございました。

【 第一報 】   お問い合わせはこちら

 

 
 
本事業には、公益財団法人 三井住友銀行国際協力財団より助成を受けています。
 

表彰式・記念講演会

第25回表彰式・記念講演会開催しました(ハイブリッド式)。
皆さまのご出席をありがとうございました。

日時  2022年1月13日(木) 13:00 ~ 15:15頃
 
この受賞を祝して表彰式・受賞作品著者2名による記念講演を
開催いたします。みなさまには ぜひご参加を賜りたくご案内いたします。
(ハイブリッド式により開催しますが、
 感染症対策の関係で、Zoomによる参加のみ募集) 参加無料。

締 切: 2022年1月6日(木)定員60名程
    お申込み受付は終了しました。
    多くの皆さまからのお申込みを、ありがとうございました。


 
表彰式・記念講演会用資料
3. 記念講演会 レジュメ 
 (1)下條 尚志氏資料(1枚)(左記以外の資料は、画面共有)
 (2)下村 恭民氏資料(12枚)


  

講 演 (講演順
「ローカルな秩序の作り方―メコンデルタの人々の生き残る術から考える近代」 下 尚志
ベトナム戦争と戦後の社会主義政策の下、国家による集住化、暴力、兵役、農業集団化に対し、メコンデルタ多民族社会の人々は、徴兵忌避や闇経済、カンボジアへの非合法越境ルートなどの「国家の介入しにくい空間」を生成していました。民族的混淆性や移動性の高さ、国境の外側と結びついた宗教や経済など、国家にとって捉えどころがなく統治しにくい要素が混在する地域を国家の「余白」とし、そこが、人間の生存にとっての危機的な状況を改善したり調整したりする「余地」が人々の手に残された場でもあったことについてお話します。
 
「異質ということ‒ 日本型開発協力の形成過程とその政策含意」 下村 恭民
日本の開発協力の歴史を辿ると、国際社会の「正統」と異なるさまざまな特色が現れる。そこには後進性や経験主義の限界だけでなく、新しい知的貢献の苗床となる可能性が秘められている。異質な視点の持つ意義を改めて確認しながら、東アジアの開発経験が凝縮された日本の開発協力の軌跡を読み直し、過ぎた時間が生んだ結果とともに、新しい時代の前触れを探ってみたい。

 
【記念撮影 受賞者および審査委員】
前列・左から、
審査委員長 杉下、受賞者・下條氏、受賞者・下村氏、審査委員 絵所 秀紀氏 (法政大学 名誉教授)
後列・審査委員一同・左から、
滝澤三郎氏(東洋英和名誉教授 )、北野尚宏氏(早稲田大学教授)、大野泉氏(GRIPS教授)
審査経緯報告他 
FASID国際開発研究センター長 朝戸恵子
右は、受賞者贈呈 賞状、楯

審査委員長講評
・FASID理事長 杉下恒夫
受賞者紹介
左 下村氏、右 下條氏
賞状贈呈(左:下條氏、右:審査委員長・理事長杉下)
賞状贈呈(左:下村氏、右:審査委員長・理事長杉下)
 
記念講演 下條 尚志 氏
 
     
記念講演 下村 恭民 氏
 

質疑応答
左:下村氏、右 大野泉氏

講演後、下村氏へ質問する大野泉氏(審査委員)
 
 
 

受賞作品と本審査対象書籍
 
 第25回 正賞 楯
 

受賞者の言葉・執筆者略歴

 
受賞者の言葉 下條 尚志 (しもじょう ひさし)
この度は歴史ある大来賞を頂き、大変ありがたく光栄に存じます。審査員の先生方、お世話になった先生方、本書の編集・校正とご推薦をして頂いた京都大学学術出版会の方々、そして本書を出版するまでに様々なご支援と激励を頂いた皆様には、深く御礼申し上げます。
本書は、ベトナム南部メコンデルタにおいてクメール人、華人、ベト人の民族的混淆が顕著に進んできた地域社会を対象に、人類学的な長期現地調査を通じて20世紀以降の人々の歴史経験と現在について検討したものです。植民地化と脱植民地化、その後の国際戦争、社会主義政策、市場経済化を背景とするナショナルかつグローバルな変革の圧力(広く捉えれば開発)に対し、地域社会の人々がどのようにローカルな秩序を再編成し、生き残りを図ってきたのかについて、徴兵忌避やインフォーマルな経済活動、移民難民といった諸問題に着目して考察しました。こうした諸問題を考えることを通じて、徴兵逃れの仏教寺院や闇市、非合法越境ルートなど、国家の介入しにくい空間が次々と生成されてゆく過程、そしてそうした空間が人々の生き残りに不可欠な場となっていたことを論じました。

受賞者の言葉全文は、リーフレットをご覧ください。


略歴
1984年東京都生まれ。

<学歴>2002年東京都立武蔵高校卒、2007年慶應義塾大学経済学部卒。2007年4月京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(以下、ASAFAS)入学。2009年10月から2012年3月にかけ、松下幸之助記念財団の助成を得てベトナムに留学。その間2010年12月から2012年3月にかけ、本書で取り上げた南部メコンデルタのソクチャン省フータン社(行政村に相当)で住み込み調査を開始。帰国後の2015年3月京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士後期課程研究指導認定退学。同年7月、博士号(地域研究)取得。

<職歴>日本学術振興会特別研究員DC1(2012年4月~2015年3月)、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員(2015年4月〜2016年3月)、国立国会図書館 関西館 非常勤調査員(2015年4月~2016年3月)、公益財団法人アジア学生文化協会非常勤講師(2015年4月~2016年3月)、京都大学東南アジア地域研究研究所機関研究員(2016年4月〜2017年11月)、神田外語大学 非常勤講師(2016年9月~2017年3月)、京都大学東南アジア地域研究研究所バンコク連絡事務所駐在員(2017年3月~7月)、静岡県立大学大学院国際関係学研究科助教(2017年12月~2021年3月)を経て、2021年4月より神戸大学大学院国際文化学研究科准教授。

<専門>歴史人類学、東南アジア研究。私が最も長く調査してきたのは、ベトナム南部のメコンデルタという地域です。そこは、かつてはいずれの国家にも完全には属さない、河川・海域世界と結びついたウォーター・フロンティアでした。そのなかでも特に多民族的な一地域社会を中心に、人類学的調査を通じて、東南アジアの人々にとっての歴史や政治といった問題を考えてきました。人類学、歴史学という学問領域、そして東南アジアや東アジアのような地域区分の「継ぎ目」をつなぐことを目指しています。特定の専門や地域に限らず、日本を含めた世界の民族、マイノリティ、宗教、移民・難民、周縁・辺境、戦争、社会主義などの問題に関心があります。

主要著書
下條尚志、「ベトナム南部メコンデルタ」、和田理寛・小島敬裕・大坪加奈子・増原善之・下條尚志・杉本良男共編著『東南アジア上座部仏教への招待』、風響社、2021年10月、pp. 147-170.
下條尚志、「ベトナム―カンボジア国境の越境移動をめぐるローカルな政治―冷戦終結後メコンデルタのクメール人越境者とベトナム国家」、『アジア・アフリカ言語文化研究』、95号、pp. 151-179、2018年3月
下條尚志、『戦争と難民―メコンデルタ多民族社会のオーラル・ヒストリー(ブックレット≪アジアを学ぼう≫42)』風響社、2016年10月
Shimojo, Hisashi, “Local Politics in the Migration between Vietnam and Cambodia: Mobility in a Multi-Ethnic Society in the Mekong Delta since 1975.” Southeast Asian Studies 10 (1), pp. 89-118, April 2021.
Shimojo, Hisashi, “From “Ideal Social Model” to Reality: Vietnamese Studies in Japan.” The Journal of Vietnamese Studies 16 (1), pp. 4-47, February 2021.


 
 
 
受賞者の言葉 下村 恭民 (しもむら やすたみ)
この度は国際開発研究大来賞を戴き、大変光栄なことと感じています。もう50年近く前の話になりますが、海外経済協力基金で大来佐武郎先生にお仕えした(といっても総裁とヒラ職員の関係ですが)時代を回想し、改めて先生を記念する賞の重みを受け止めています。
審査委員の方々が本書のメッセージを取り上げていただいたことに深く感謝します。また、執筆の過程で、ブレインストーミングやインタビューを通じて、貴重な視点を気づかせて下さった多くの方々、そして、終始きめこまかいご支援をいただいた、東京大学出版会とJICA緒方貞子平和開発研究所の方々に、心からお礼を申し上げます。執筆しながら途上国での多くの人々との出会いを思い返し、彼らから学んだ貴重な「智恵」の数々を盛り込むことに努めました。

受賞者の言葉全文は、リーフレットをご覧ください。


略歴
1940年 東京生まれ
1963年 慶應義塾大学経済学部卒業、1970年 コロンビア大学Graduate School of Business修了(MBA)
1963年 古河電気工業株式会社採用、1972年 海外経済協力基金(OECF)採用
1873年  インドネシア中央銀行派遣専門家、1977年 海外経済協力基金ニューデリー首席駐在員、1985年 同バンコク首席駐在員、1988年 同経済部長
1992年 埼玉大学教授 、1997年 政策研究大学院大学教授(埼玉大学併任)、1999年  法政大学教授、国際協力銀行監事、2004年 法政大学大学院環境マネジメント研究科長、2010年 法政大学名誉教授

主要著作
『日本型開発協力の形成 政策史1・1980年代まで』東京大学出版会、2020年
『タイの新しい地平を拓いた挑戦  東部臨海開発計画とテクノクラート群像』佐伯印刷株式会社出版事業部、2017年
『国際協力 その新しい潮流』(第3版:辻一人、稲田十一、深川由起子との共著) 有斐閣、
Japan’s Development Assistance  Foreign Aid and the Post-2015 Agenda, eds. With Hiroshi Kato and John Page, Palgrave Macmillan, 2015
A Study of China’s Foreign Aid  An Asian Perspective, eds. With Hideo Ohashi, Palgrave Macmillan, 2013
Aid as Handmaiden for the Development of Institutions  A New Comparative Perspective, eds. with Machiko Nissanke, Palgrave Macmillan, 2013
The Rise of Asian Donors: Japan’s Impact on the Evolution of Emerging Donors, eds. with Jin Sato, Routledge, 2013
『中国の対外援助』(大橋英夫との共編著)日本経済評論社、2013年
『開発援助政策』日本経済評論社、2011年
『貧困問題とは何であるか 「開発学への新しい道」』(小林誉明との共編著)勁草書房、2009年
『開発援助の経済学 「共生」の世界と日本のODA』(西垣昭、辻一人との共著) 有斐閣、2007年
『アジアのガバナンス』(編著)有斐閣、2006年
The Role of Governance in Asia, ed., Institute of Southeast Asian Studies, 2003



【お詫びと訂正】
リーフレット(印刷版)に誤記がございました。お詫びと共に訂正いたします。
訂正箇所 P.4(裏面) 表彰式・講演会ご案内の「曜日」
 誤   2022年1月13日(金)
 正   2022年1月13日(木)



お問い合わせ先

一般財団法人 国際開発機構 国際開発研究センター
国際開発研究 大来賞事務局(担当:服部)

Email:okita@fasid.or.jp 
TEL:03-6809-1997   FAX:03-6809-1387




 

これまでの表彰式・記念講演


第24回(2020年度)
第23回(2019年度)
第22回(2018年度)
第21回(2017年度)
第20回(2016年度)

第19回(2015年度)
第18回(2014年度)
第17回(2013年度)
第16回(2012年度)
 
OKITA Memorial Prize for International Development Research

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